株式会社Joh Abroadの中里貫太です。
建設業界では若手の技能者が定着しない・入職者を確保できない為、人手不足に悩んでいます。このような状況下ですので、外国人を受入れている・受入れを検討しているという企業様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、建設キャリアアップシステムに外国人の登録が義務化されていることについてや、建設キャリアアップシステムの概要について分かりやすく説明していきたいと思います。
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目次
建設キャリアアップシステム(略称CCUS)とは
建設業では、若手の技能者が定着しない・入職者を確保できないことが問題視されています。その原因にはキャリアパスが見えづらく、技能者が経験を積み能力を身に着けたとしても適正な評価を得られない為、技能者の能力やキャリアに見合った賃金が支払われず、若年層からは就職先として敬遠されていることがありました。
そこで、技能者の技能やキャリアを見える化することで技能者を適正に評価し、技能者の処遇を改善するため、技能者の資格や就業履歴を業界統一のルールで蓄積する建設キャリアアップシステムを建設業に導入したのです。
建設キャリアアップシステムの概要
技能者情報等の登録
技能者は本人情報や保有資格、社会保険の加入状況などを登録。建設事業者は商号や現場名、工事内容などをシステムに登録します。
カードの交付・現場での読み取り
システムに情報を登録後、技能者には個人用のカード(建設キャリアアップカード)が発行されます。 現場で業務にあたる際に、元請け事業者が設置したカードリーダーに個人カードを読み取らせることで、その現場での就業情報が就業履歴として記録され、技能者のキャリアとしてシステムに蓄積されていく仕組みとなっているのです。
※元請け事業者として現場を開設する事業者は、現場を開設する毎に現場名や工事内容などをシステムに登録する必要があります。
技能者の能力評価
システムに登録・蓄積されている就業日数や保有資格・登録基幹技能者講習・職長経験などを基にして、技能者の経験・知識・技能・マネジメント能力が客観的に評価されるため、技能者を適性に評価することができます。
建設キャリアアップシステムに登録した技能者に配布されるキャリアアップカードは技能者が持つ能力のレベルに応じて色分けされ、レベルは1から4までで分けられています。 各レベルにおける技能者の能力の目安は以下の通りです。
レベル1:
カードの色は白色で、能力の目安は初級技能者(見習いの技能者)程度。
レベル2:
カードの色は青色で、能力の目安は中堅技能者(一人前の技能者)程度。
レベル3:
カードの色はシルバーで、能力の目安は職長として現場に従事可能な技能者程度。
レベル4:
カードの色はゴールドで、能力の目安は高度なマネジメント能力を有する技能者(登録基幹技能者等)程度。
外国人の受入れには建設キャリアアップシステムへの登録が義務化?
結論、外国人を受入れる場合には建設キャリアアップシステムへの登録が義務化されています。 もともと「特定技能外国人」は登録が義務付けられていましたが、2019年7月5日に国土交通省から外国人の受入基準に関する公示あり、「特定技能外国人」に加えて、2020年1月からは「技能実習生」と「外国人建設就労者」にも建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられました。
また、外国人を受入れる事業者は、建設キャリアアップシステムへ外国人本人の情報を登録する技能者登録のみでなく、事業者登録も必須です。
外国人の登録義務化の背景
失踪が問題視されている技能実習生ですが、建設業は他の業種と比較すると、特に技能実習生の失踪が多い業種です。
建設業で技能実習生の失踪が多い原因として、時期によって受注量が激しく変動するため、賃金が安定しないことが一つ、2つ目に工事ごとに現場が変わるため、就労管理が難しいということがありました。
このような建設業の背景があり、建設キャリアアップシステムに外国人の登録が義務付けられたわけですが、建設キャリアアップシステムを利用することで技能実習生の就労管理が容易になるため、実習生失踪の原因である就労環境改善に繋がることが考えられます。
参照:https://www.moj.go.jp/isa/content/001362002.pdf
まとめ
建設業は国内では人材を確保できない状況下であるため、外国人を受入れている・受入れを検討している企業様も多いかと思いますが、外国人を受入れる場合には義務として建設キャリアアップシステムに登録しなければなりません。企業側からすると建設キャリアアップシステムへの登録は負担であるかと思いますが、外国人労働者の就業状況などの把握が容易になるため就労環境の改善に繋がり、外国人労働者の失踪リスクを軽減することが可能になります。
受入企業としても、自社の業務に慣れた人材が失踪することは望むところではないかと思いますので、失踪リスクを軽減できる建設キャリアアップシステムは受入れ企業にとってもメリットのあるものではないでしょうか。