ベトナム人技能実習生の失踪問題|その理由は低賃金
株式会社Joh Abroadの中里です。
最近、ニュースでよく取り上げられている外国人技能実習生の失踪問題や奴隷制度と呼ばれている外国人技能実習制度に良いイメージを持っていないという方も多くいらっしゃると思いますが、実際のところ技能実習生の失踪者はどの程度いるのか、そして技能実習生が失踪する理由とは何なのかを今回はご説明していきたいと思います。
マスメディアでの「技能実習生が事件を起こした」という報道や、「奴隷制度を廃止しろ」という風潮を見ていると、残念ですが皆さんに技能実習生の約半数は失踪しているのではないかと思われていても不思議ではないと感じています。
しかし、厚生労働省の資料を見てもらうと皆さんが思っているよりも失踪者数の割合は少ないのではないでしょうか。失踪者数だけを見ると平成30年で9000人以上もおり、多いように感じられるかもしれませんが、技能実習生の総数も年々大幅に増加しているため、失踪者数の割合でみるとあまり変化がないという結果になっています。
技能実習生の失踪者数は?
では、技能実習生が失踪し、事件を起こしたり、違法滞在しているという問題も事実としてある中、全体の割合で見ると失踪者数にあまり変化がないからという理由で満足しても良いのでしょうか?
現状の世間が持つ、外国人技能実習制度に対するネガティブなイメージの払拭や技能実習生が労働環境に耐えられないという状況をなくすためにも、監理団体・受け入れ企業の双方が失踪理由を把握し技能実習生のサポートに尽力しなければなりません。
法務省の集計によると皆さんもよく耳にしたことがあるかと思いますが、低賃金での雇用に耐えられなくなり、失踪してしまったという技能実習生がやはり最も多いという結果になっています。
技能実習生の失踪理由
低賃金
技能実習生は金銭面での負担なく入国できるというわけではなく、日本で技能実習生として稼働するために送り出し機関に借金をして入国されます。そして、外国人技能実習生のほとんどが母国では稼ぐことが出来ないような金額を日本で稼ぐという目的の元、来日されています。
賃金未払い等の法律違反や、募集の際の労働条件を偽り受け入れ後は低賃金で働かせるなどの行為を受け入れ企業が犯してしまうと、生活費や保険関係の費用、寮費等の支払いで手一杯となってしまい、お金を稼ぐどころか借金の返済すら出来ないという事態に陥ってしまいます。その結果、耐えきれなくなった技能実習生が失踪するということが実際に起こってしまっているのが現実です。
■実習終了後も稼働したい
私は、実習生としてではなく、在留ビザもない状態で自分自身で働き口を探して、稼働するということは非現実的であるといように考えていますが、中には日本では母国で働く以上にお金を稼ぐことが出来るという考えで、実習終了後も稼働しようと逃げ出す技能実習生もいるようです。
また、低賃金で働いていたため、送り出し機関に支払った費用(借金)を返す必要があり、日本でまだ働きたいと考えている技能実習生が実際には多いように感じられます。
■指導が厳しい
建設業など作業に危険を伴う職業では、安全のためにどうしても指導が厳しくなってしまうのは仕方のないことだと思いますが、異国の地という慣れない環境の中での技能実習ということで、悩みや不安を抱えている技能実習生に厳しい指導をしてしまうとやはり、逃げ出したくなる技能実習生も少数ではありますが、出てきてしまうというのが実際のところです。
■労働時間が長い
技能実習生はお金を稼ぐことを目的に来日しているため、夜間労働や残業を求める方が多く、長時間の労働も問題ないという方がほとんどです。私が技能実習生の面接に立ち会った際、技能実習生が受け入れ企業に「残業はありますか?」というように質問され、夜間労働や残業が多いと喜んでいる技能実習生を多く見てきました。また、残業がないという理由で転職をされた方も中にはいます。
しかし、労働時間分の賃金が支払われていない場合は、別の話となります。外国人技能実習生だから低賃金でも問題がないということでは決してありません。
■暴力を受けた
こちらも少数にはなりますが、受け入れ企業の技能実習生への認識が、「日本人ではないから問題ない。」「日本語能力が低いから暴力を振るってもバレないだろう。」という方もいます。この問題については、受け入れ企業側に技能実習生と受け入れ企業は対等であるというように意識改善をしていって頂くしかありません。
建設業界では外国人材の活用が必要不可欠
建設業界は慢性的な人手不足に陥っており、国内人材の確保が困難な状況下にあります。国土交通省のデータをご覧いただくと、建設業界では15歳~29歳の就業者が60歳以上の就業者の半数以下しかおらず、10年後には建設業就業者の大半が引退するという事態が予想されることがお分かりいただけたかと思います。
現在国内では建設業界の人手不足に伴い、本来必要な公共工事が先送りにされており、国の公共事業関係に対する予算が毎年繰り越されているという状況にあります。また、インフラの老朽化も進行しており、2033年には国内において整備が必要になるであろう建設後50年以上が経過するインフラが約半数となりますので、10年後が建設会社にとってのチャンスになると予想されます。
整備が必要な社会資本が国内に溢れかえる10年後に備えて、現段階から人材を確保・育成することが重要であり、人材の確保ができている企業とできていない企業とでは受注可能数に大きな差が表れることでしょう。
出典:国土交通省 国土交通白書第 2節 社会資本の老朽化対策等
以上を踏まえ、建設会社はどうやって人材を確保するのかという部分についてですが、現状では建設会社に入職したいという国内人材が少数となっているため、外国人材の助力を得る必要があるのです。
建設会社が取るべき行動は人材の確保・育成ですので、雇用した外国人の転職や失踪リスクが高まる低賃金での雇用は避けるべきであり、転職されるリスクが抑えられる賃金設定や実習生への接し方を意識していただければと思います。
また、自社の業務を難なく行える外国人材を育成することができれば、その人材に新たに雇用した外国人労働者の育成の一端を任せることも可能ですので、転職リスクを負うのではなく外国人材に自社で長く働いてもらうための仕組みづくりが人材を確保する上での重要なポイントになります。
まとめ
技能実習生全体の割合でみると、技能実習生の失踪はあまり多いとは言えませんが、技能実習生が失踪し問題を起こしている者も一定数いることも事実としてありますので、弊社では技能実習生の失踪原因を改善し、技能実習生と受け入れ企業、双方にとって実りのある制度にしたいと考えております。
■参考文献
日本で命を絶つ若者たち…。技能実習生の駆け込み寺
https://www.huffingtonpost.jp/entry/daionji_jp_6217780ee4b0afc668bbf320
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