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建設キャリアアップシステムとは
株式会社Joh Abroadの中里貫太です。
建設キャリアアップシステムは、2019年4月から本格運用が開始された、建設業に従事する技能者の保有資格・社会保険加入状況・現場での就業履歴などを業界統一のルールで登録・蓄積する仕組みになります。2022年6月時点では、外国人と外国人を雇用している事業者にのみ、登録が義務化されている建設キャリアアップシステムですが、2023年にはあらゆる工事で活用が原則化される見込みです。よって、今後は建設キャリアアップシステムに登録する技能者・事業者は増加していくでしょう。
本記事では、建設キャリアアップシステムのゴールドカードを持つメリットについての説明をしていきますが、その前に建設キャリアアップシステムの概要についてご理解いただければと思います。
建設キャリアアップシステムの概要
事業者登録・技能者登録・現場情報の登録
・事業者は商号、所在地、建設業許可情報などを登録。
・技能者は本人情報、保有資格、社会保険加入などを登録。
・元請け事業者は現場名、工事内容、施工体制などの現場情報を登録。
②カードの交付・現場での読取
システムに情報登録後、技能者には建設キャリアアップカードが発行されます。現場で業務にあたる際に、元請け事業者が設置したカードリーダーに建設キャリアアップカードを読み取らせることで、その現場での就業情報が就業履歴として記録され、システムに蓄積されていく仕組みとなっているのです。
※元請け事業者として現場を開設する事業者は、現場を開設する毎に現場名や工事内容などをシステムに登録しなければなりません。
③技能者の能力評価
システムに登録・蓄積されている就業日数・保有資格・登録基幹技能者講習・職長経験などを基に、経験・知識・技能・マネジメント能力など技能者の能力が客観的に評価されます。
建設キャリアアップカードはレベル1から順にレベル4までレベルが上がっていき、各レベルでカードの色が下記のように分けられています。
レベル1:
カードの色は赤。能力の目安は初級技能者(見習い技能者)程度。
レベル2:
カードの色は青。能力の目安は中堅技能者(一人前の技能者)程度。
レベル3:
カードの色はシルバー。能力の目安は職長として現場に従事可能な技能者程度。
レベル4:
カードの色はゴールド。能力の目安は高度なマネジメント能力を有する技能者(登録基幹技能者など)程度。
建設キャリアアップシステムのゴールドカードを持つメリット
建設キャリアアップシステムのゴールドカードを持つメリットは、下記の2ポイントにあります。
①下請け企業の営業に活かせる
②技能者の賃金UP
下請け企業の営業に活かせる
ゴールドカードは建設キャリアアップシステムにおいて最上位のレベルとなりますが、下請け企業がゴールドカードの保有者数を元請け企業に提示することで、下請け企業は施工能力を目に見える形でアピ―ルすることが可能です。
技能者の賃金UP
上述の通り、建設キャリアアップカードはレベル1~4の4段階に分かれていますが、レベルを上げることで、それに伴った技能者の賃金増加も見込めるのです。下記のデータをご覧いただくと、レベルが1段階上がることで賃金が100~300万円程度上昇していることが分かるかと思います。
建設業は若年層から人気がなく、人手不足に悩んでいますが、その原因にはキャリアパスが見えづらく、キャリアを積み、能力を身に着けたとしても適正な評価を得られないことがありました。が、建設キャリアアップシステムを活用することで、技能者は、現状の自分の能力レベルを目に見える形で確認でき、自分でキャリアアップを把握することも可能です。また、蓄積されたデータを基に客観的に技能者の能力が評価されるため、技能者の処遇改善にも繋がります。
引用:国交省/技能レベルに応じた処遇実現へ/7職種が年収目安公表、職長手当て別枠計上 – 日刊建設工業新聞 (decn.co.jp)
まとめ
建設キャリアップシステムのゴールドカードを保有することで、技能者と事業者の双方にメリットがあります。
技能者には、能力やキャリアに見合った賃金が支払われるようになるため、以前よりも賃金がUPするというメリット。事業者には、下請け企業が元請け企業に対して、自社のゴールドカード保有技能者数を提示することで、施工能力のアピールができ、営業に活かせるというメリットがあります。
2023年には、あらゆる工事で活用が原則化される建設キャリアップシステムですが、事業者にとっては技能者を長期雇用する上で、適正な処遇を与えるということは必須であるため、まだ活用していないという建設系企業様は建設キャリアップシステムに登録してみてはいかがでしょうか。