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【悲報】建設業界の人手不足をデータで見る。人手不足の理由は当たり前?

建設業界の人手不足の理由は?人手不足は当たり前?

株式会社Joh Abroad(ジョー アブロード)の中里貫太です。

建設業界の経営者様達の声の中で「うちは人材には困ってない」と聞いたことはあまりあません。それどころか人手不足だと悩まれている経営者様も多いのではないでしょうか。その理由と世間の声を本記事では取り上げます。

建設業界の人手不足は有名なため、建設業界では「人手が足りない!」と嘆いている方がたくさんいるとは思いますが、建設業界が人手不足に陥っている原因についてデータを交えて説明していきたいと思います。

 

建設会社の人材不足の現状データ

➀有効求人倍率の比較

出典:厚生労働省 一般職業紹介(令和3年6月分)「参考統計表」

有効求人倍率とは求職者一人に対して何件の求人があるのかを示す値のことですが、令和3年6月の厚生労働省の資料によると、建設業の有効求人倍率は5.37倍、建設業と同様に人材不足で悩まされている介護サービスの有効求人倍率は2.98倍、人気職である事務的職業になると有効求人倍率が0.68倍となっています。

建設業と他職業では有効求人倍率に大きな差があり、建設業がいかに世間から人気のない職業かが明確に表れています。

 

②建設業就業者の高齢化

出典:国土交通省 建設業及び建設工事従事者の現状

建設業就業者の高齢化が年々深刻化し、建設業界には10年後に引退するであろう55歳以上の人材が110万人以上いますが、現在働いている建設業就業者の大半が引退したとしても、これから若手人材も増えてくるだろうという根拠のない考えに至ってはいけません。

上のグラフから見てとれるように若手人材といえる15歳から29歳の建設就業者は10年後には引退するであろう人材の半分以下の人数しかいないのが実情であり、世間からの建設業に対するイメージの悪さは考えているよりも深刻です。

人手不足という問題を抱えている建設会社が多いなか、このまま何の策も打たず10年後を迎えしまうと、世の中に必要不可欠である建設業が衰退へと進んでしまうことでしょう。

建設会社の皆さんには10年後、大半の建設業就業者が引退してしまうと建設業界は仕事を満足にできなくなるということを念頭に置き、人手不足改善のために若年入職者の確保・育成を課題とする必要があります。

 

建設業が人気のない理由

上記の➀有効求人倍率の比較、②建設業就業者の高齢化をふまえて建設業が人気のない理由を説明していきます。

➀②で説明した若手人材が定着しなく、有効求人場率が高い理由として、建設業就業者の高齢化に伴い人材不足が深刻化し、業界で働く人間に大きな負担を強いられることになったことが原因です。

では、建設業界で働く人間へどのような負担を強いられているのかを見ていきたいと思います。下の表を見てもらうと、建設業界での若年就業者が定着しない理由がわかるのではないでしょうか。

 

出典:国土交通省 建設業の働き方として目指していくべき方向性(参考資料)

 

労働時間の長さ

出典:国土交通省 建設業の働き方として目指していくべき方向性(参考資料)

 

厚生労働省の調査によると、2016年度における全産業の総労働時間の平均1720時間に対し、建設業の総労働時間は2056時間と全産業よりも約336時間(約29日)多くなっています。

建設会社では週休2日も取れないというところが多くを占めていますので、週休2日が取れるように国も労働環境の改善に向けて動き始めていますが、状況は深刻であり、改善には時間を要します。

 

低賃金

建設業界は労働時間に対しての賃金が低く、他の業種で建設業の労働時間分働けばより多くの給料が得られるため、それならほかの業種で働こうという考えが一般的ではないかと思います。

 

出典:国土交通省 建設業の働き方として目指していくべき方向性(参考資料)

 

国土交通省のデータをご覧いただくと、建設業よりも製造業の年収額の方が高くなっていることがお分かりいただけるかと思います。50歳から54歳の年収額を比較してみると、建設業が約630万円、製造業が約700万円と70万円程度の差があります。

差があるとは言うが、70万円程度か...と思う方もいらっしゃるかもしれませが、製造業よりも建設業は労働時間が105時間長いということを忘れてはいけません。建設業は他職業に比べ、労働時間に対しての賃金が低いというのが実情であり、生産性が大変低い業界となっています。

 

建設業界へのネガティブなイメージ

国は世間から建設業に対するイメージに改善に向けて取り組んではいますが、世間からは3K(きつい・汚い・危険)のイメージを持たれてしまっているというのが就職先として、このようなイメージを持たれていると不人気になりやすいです。

建設業は現場での長時間の肉体労働も多く、他業種に比べ高所で作業することも多く落下の危険などがあります。

 

人気職種と建設業界の違い!

事務職が人気である理由としましては、

➀楽そう

②残業が少なく、休日が多い

③高齢になっても働き続けることが出来る

④未経験でも就職できる

等の理由が挙げられます。

 

➀楽そう

マイナビ転職のQ.「楽な仕事(職業)」で思い浮かべるものは?という質問の結果で1位に事務職が挙げられていることから、事務職は「楽な仕事」というイメージがついていることが分かります。

https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/51

世間が「楽そう」というイメージを持つ事務職に対し、建設業は3K(きつい・汚い・危険)という言葉の対象であることからあまり良いイメージを持たれていません。マイナビ転職のQ.「楽な仕事(職業)」で思い浮かべるものは?の経験者が語る大変な点から、単純作業ばかりで退屈だったという精神的に大変なこともあるようです。

他にも、事務職の業務内容としては書類作成があり、書類作成一つとっても様々な分野の書類を作成しないといけなく、分野ごとに必要になる知識やスキルも異なってくるため、臨機応変な対応が必要になってきます。また、事務職はデスクワークだけではなく、来客・電話の応対も行う必要があります。

来客・電話の応対を行うということは、それに伴う悩みも発生するのではないでしょうか。以上のことから、実際に働いてみないと分からないこともあるため、表面的な部分で職種の善し悪しを判断している人もいるということが分かります。

 

②残業が少なく、休日が多い

https://doda.jp/guide/zangyo/

求人情報・転職サイトdoda(デューダ)の残業の少ない職種 ランキングTOP20を見てもらうと、残業の少ない職種ランキングTOP20の1位には、1月の残業時間が9.2時間の事務職である営業事務アシスタントがランクインしています。

では、建設業のデータはどのようになっているのでしょうか。残業の多い職種ランキングTOP20を見てもらうと、なんと2位に1月の残業時間が36.9時間の建設業である施工管理ランクインしているではありませんか。また、休日も週休1日が当たり前になっている建設業に対し、事務職は基本的に週休2日を取ることが出来ます。

以上の残業時間・休日を比較すると、より事務的な職業の労働時間の少なさと建設業の労働時間の多さが際立って見えると思います。

 

③高齢になっても働き続けることが出来る

事務職の業務内容は、書類の作成や、データ入力、電話・メール・来客対応とデスクワークが多く、肉体労働ではないため高齢になっても体力の心配はなく、働き続けられるということが、人気である理由の一つになっています。

デスクワークが多い事務職に対し、肉体労働を業務として課せられるものも多い建設業。高齢になると、徐々に体力がなくなり、怪我もしやすくなるため、肉体労働を行うことも難しくなってくると思います。そして、一度怪我をしてしまうと働けない時期が発生してきたり、治らなかった場合、最悪仕事を失う可能性も出てきます。

建設業の中でも、肉体労働が主な業務となる分野は、型枠大工、コンクリート工、鉄筋大工、左官工、とび職人、塗装工などがあり、これらの分野は高齢になっても働き続けることが出来るのかという心配もあるのではないでしょうか。

 

④未経験でも就職できる

事務職に就職するとき、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)、簿記、秘書検定などの資格があれば有利にはなりますが、未経験の方を募集している企業も多くあります。

対して、建設業はどうでしょうか。建設業で必要な資格には実務経験がないと受験できないものも多く、働きながら資格を取得する人もたくさんいます。そのため、持っていると就職の際に有利になる資格はもちろんありますが、未経験の方を募集している企業もあります。

 

まとめ

建設業界の皆さんには、今回の記事を読んでもらうことで、建設業界の現状・人手不足の原因を理解して、自分の会社はどうなのか?見つめなおしてもらい、建設業界の人手不足の原因に対しどのような方法で対処・改善をするのかを考える機会になれば幸いです。
高度経済成長期に建設したインフラ関連の老朽化が始まっており、インフラ整備を担う人材が不足している建設業界。現状の人手不足は10年後のチャンスと捉えるか、斜陽産業と捉えるかは自社次第かと思います。

 

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