株式会社Joh Abroadの中里です。
人材が不足しているため、外国人材を受入れたいが初期費用に対して、転職リスクなどが心配で受入れに踏み出せないという企業の経営者や経営幹部様もいらっしゃるかと思います。
そんな方に向けて、外国人材雇用に対する不安を軽減してもらうためにも外国人材を雇用する際に利用できるキャリアアップ助成金をはじめとした助成金について、本記事ではご紹介していきます。
また、弊社では代表の福澤がC・THE・S協同組合の代表理事を務めている関係で技能実習生、特定技能の受入れのご相談を承っております。
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための制度であり、非正規雇用労働者の正社員化や処遇の改善を図る事業者に対して助成されるものです。
また、キャリアアップ助成金には7つのコースがあり、コースは以下の通りとなります。
・正社員化コース
・障害者正社員化コース
・賃金規定等改定コース
・賃金規定等共通化コース
・諸手当制度等共通化コース
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・短時間労働者労働時間延長コース
定住者でない外国人労働者はキャリアアップ助成金(正社員コース)の助成対象外
本記事のポイントであるキャリアアップ助成金(正社員コース)は、外国人材雇用の際に利用できるのかという疑問に対してですが、外国人労働者が取得している在留資格によって利用の可否が異なります。このコースは、在留資格が「定住者」の労働者を対象としたものであり、帰国を前提としている在留資格「技能実習」を取得している技能実習生などは助成対象外です。その他コースについては、要件を満たしていれば外国人労働者も助成対象になりえます。
支給対象事業主(全コース共通の条件)
・雇用保険が適用されている事業所
・事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている
・キャリアアップ計画を作成し、事業所住所地における管轄労働局長に受給資格の認定を受けている
・賃金台帳など、労働者への賃金支払い状況や労働条件を明らかにできる書類が整備されている
・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んでいる
キャリアアップ助成金を利用するためには、保険が適用されている事業所であることが大前提ですが、キャリアアップ管理者の設置と同時にキャリアアップ計画の作成なども重要なポイントとなります。
賃金規定等改定コース
対象労働者
・有期雇用労働者に適用される賃金規定を増額改定した日の前日から起算して3カ月以上前の日から増額改定後6カ月以上の期間を支給対象事業主から継続雇用されている有期雇用労働者
・増額改定した賃金規定が適用され、且つ増額改定前の基本給よりも2%以上昇給されている者
・賃金規定等を増額改定した日の前日から起算して3か月前から支給申請日までの間に、理由なく給与や諸手当を減額されていない
・賃金規定等を増額改定した日からの6か月間において雇用保険被保険者である
・賃金規定などを増額改定した事業所の事業主、若しくは取締役の3親等以内の親族以外の者
・支給申請日に離職していない者
助成額 ※()は生産性要件を満たしている場合の助成額。
すべての有期雇用労働者等の賃金規定を2%以上増額改定し、昇給させた場合
対象労働者数が 1人~3人:1事業所当たり 95,000円 (12万円)
4人~6人:1事業所当たり 19万円 (24万円)
7人~10人:1事業所当たり28万5,000円 (36万円)
11人~100人:1人当たり 28,500円(36,000円)
一部の有期雇用労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合
対象労働者数が 1人~3人:1事業所当たり 47,500円(60,000円)
4人~6人:1事業所当たり 95,000円 (12万円)
7人~10人:1事業所当たり14万2,500円 (18万円)
11人~100人:1人当たり 14,250円(18,000円)
賃金規定等共通化コース
対象労働者
・就業規則で定める賃金規定の共通化を行った日の前日の3か月以上前の日から共通化後6か月以上の期間を継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
・正規雇用労働者と同一の区分に格付けされている者
・賃金規定を共通化した日から6カ月間、雇用保険被保険者として対象事業所に雇用されている者
・事業主、取締役の3親等以内の親族以外の者
・支給申請日に支給していない者
助成額
1事業所当たり57万円(72万円)
※1事業所当たり1回のみの利用
共通化した対象労働者の2人目以降については、助成額が加算されていく仕組みとなっており、
・対象労働者1人当たり20,000円(24,000円)
が上限20人までを対象に支給されます。
諸手当制度等共通化コース
対象労働者
・健康診断、人間ドックを受診してから6カ月以上の期間を継続して雇用されている有期雇用労働者など
・諸手当制度を共通化し、初回の諸手当を支給した日以降、若しくは健康診断を受診してから6カ月間を適用事業所で雇用保険被保険者として雇用されている
・事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
・支給申請日に離職していない者
助成額
1事業所当たり38万円(48万円)
(1事業所あたり、1回のみの支給となります。)
※共通化した対象労働者の2人目以降は助成額が加算されていく仕組みとなっております。
(加算対象となる手当は、対象労働者が最も多い手当1つのみとなります。)
・対象労働者1人当たり15,000円(18,000円)
が20人を上限として支給されます。
※同時に共通化した諸手当の2つ目以降については、上限を4手当として助成額が加算されます。
・諸手当等の数1つ当たり16万円(19万2,000円)
選択的適用拡大導入時処遇改善コース
対象労働者
・有期雇用労働者等として、事業主に雇用されている者
・社会保険の適用拡大措置の実施日前日から過去3カ月以上の期間継続して有期雇用労働者等として雇用されていた者
・社会保険の適用拡大措置の実施日前日から過去3カ月間、社会保険の適用要件に満たしておらず、過去2年間を社会保険に加入せずに対象事業主に雇用されていたもの
・事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
・支給申請日に離職していない者
助成額
①1事業所当たり 19万円(24万円)
※1事業所当たり1回のみの利用。
②措置該当日以降に新たに社会保険の被保険者となった有期雇用労働者等の基本給を一定の割合以
上増額した場合、基本給の増額割合に応じて以下の助成額を加算
2%以上3%未満 :1人当たり 19,000円 (24,000円)
3%以上5%未満 :1人当たり 29,000円 (36,000円)
5%以上7%未満 :1人当たり 47,000円 (60,000円)
7%以上10%未満 :1人当たり 66,000円 (83,000円)
10%以上14%未満 :1人当たり 94,000円(11万9,000円)
14%以上 :1人当たり13万2,000円(16万6,000円)
支給申請の上限人数は45人までとなります。
③措置該当日以降に有期雇用労働者等の生産性の向上を図るための取組(研修制度や評価の仕組みの導入)を行った場合に助成額を加算
・1事業所当たり100,000円(75,000円)
<1事業所当たり1回のみ>
短時間労働者労働時間延長コース
対象労働者
・週所定労働時間の延長後、6カ月以上の期間継続して有期雇用労働者等として対象事業主に雇用されている者
・ 次の(1)から(5)までのいずれかに該当する労働者であること。
(1)週所定労働時間を5時間以上延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、
有期雇用労働者等として雇用された者
(2)週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期
間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の
基本給が延長前の基本給に比べて13%以上昇給している者
(3)週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期
間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の
基本給が延長前の基本給に比べて8%以上昇給している者
(4)週所定労働時間を3時間以上4時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期
間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の
基本給が延長前の基本給に比べて3%以上昇給している者
(5)週所定労働時間を4時間以上5時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期
間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の
基本給が延長前の基本給に比べて2%以上昇給している者
・週所定労働時間の延長日前日から過去6カ月間、社会保険の適用要件を満たしておらず、過去2年以内において社会保険に加入せずに対象事業主に雇用されていたもの
・事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
・支給申請日に離職していない者
助成額
・短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険を適用させた場合
1人当たり22万5,000円(28万4,000円)
※令和4年9月30日までの期間については、支給額が増額されています。
・労働者の手取り収入減少を防ぐために週所定労働時間を延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させるという処遇の改善に取り組んだ場合
※令和4年9月30日を期限とした措置となります。
1時間以上2時間未満:1人当たり 45,000円 (57,000円)
2時間以上3時間未満:1人当たり 90,000円(11万4,000円)
3時間以上4時間未満:1人当たり13万5,000円 (17万円)
4時間以上5時間未満:1人当たり18万円(22万7,000円)
1年度における支給申請の上限人数は1事業所当たり45人までとなります。
まとめ
長期的な視点で見ると、正社員として雇用することが人材を育成する上でのポイントではありますが、外国人を正社員として雇用することは制度的に難易度が高くなっています。技能実習生はそもそも正社員として雇用することは不可能であり、正社員として雇用するのであれば、在留資格「特定技能1号・2号」や在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得した外国人になりますが、有期雇用労働者から正社員にキャリアアップさせることで外国人材のモチベーションアップにも繋がり、転職リスクを抑えることが可能です。
そのため、優秀な人材を確保するのであれば外国人材の正社員化や賃金の増額改定措置を施し、自社で働くことへのモチベーションを与えることが重要ですので、リスクを抑えたキャリアアップが可能になる助成金制度は是非有効活用していただきたいと思います。
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