技能実習生とエンジニアの違いとは?
株式会社Joh Abroadの中里です。
人材不足で外国人労働者の受け入れを考えているが、外国人技能実習生とエンジニアの違いがいまいち分からないという方に、今回は外国人技能実習生とエンジニアの違いについてご説明していきたいと思います。
結論、技能実習生とエンジニアの違いは在留資格の違いであり、働ける職種に違いがありますが、建設業界でいえば技能実習生は現場作業に実習という形で業務にあたることは問題ないものの、エンジニアビザで建設現場の単純労働力として直接雇用するのは不可です。
正確には単純労働はNGである
外国人技能実習生
技能実習制度は、技能実習生に出身国で習得が困難な技能等を、日本の受け入れ企業で修得・習熟・熟達してもらい、発展途上国の経済発展に日本で培った技能、技術または知識を生かしていただくことを目的としています。
つまり、企業の人材不足を補うために活用されている技能実習制度ですが、厳密には技能実習生は労働者ではなく、あくまで技能を学ぶために来日しているのです。
技能実習生の条件
- 実習内容が単純作業でないこと
- 18歳以上の外国人で、技能実習終了後に母国に帰り、技能実習として日本で取得した 技能を活かせる業務に従事する予定がある者
- 日本で行う実習内容と同様の業務に従事したことのあるもの
- 技能実習制度の実習対象の職種であること
■技能実習生の受入れが可能な職種
外国人技能実習生の受入れが可能な職種と作業内容には全80職種144作業と限りがあるため注意が必要です。外国人技能実習生の受入れが可能な職種は下記になりますので、ご確認下さい。
技能実習生受入れの流れ
技能実習生はどのように受け入れを行えば良いのかについてですが、技能実習生の受入れ方法には海外の派遣元で働いている外国人を日本の企業に技能実習生をして送りだす企業単独型と日本の監理団体に依頼して、海外の送り出し機関から技能実習生を受け入れる団体監理型の二つの方法がありますが、九割方の企業は団体監理型の受入れ方法です。また、技能実習生として受け入れることが出来る期間は最長でも5年までになります。
■団体監理型で技能実習生を受入れる場合
「技術・人文・国際業務」
エンジニアとして日本での業務に従事している外国の方がいることはご存じかと思いますが、エンジニアビザというものがあるわけではなく、通称「技人国」と呼ばれている、「技術・人文・国際業務」という在留資格を取得し、日本で働いています
■「技術・人文・国際業務」の取得条件
・大学、短大を卒業したもの
※日本の大学である必要はなく、海外の大学、短大を卒業されていても問題ありません。
・専門学校を卒業したもの
※専門学校については、大学、短大と異なり、海外の専門学校卒業だと従事する業務に必要な学力を有していると判断されにくいため、日本の専門学校に卒業している必要があります。
・実務経験 10年以上の実務経験(翻訳、通訳等の翻訳業務等の場合は3年)があるもの
※ほとんどの場合は、上記の内容が在留資格「技術・人文・国際業務」の取得条件になりますが、ここで例外としてシステムエンジニアがあります。
システムエンジニアとして日本で就労する場合は、法務大臣が定めた情報処理技術に関する資格をお持ちの方に限り、学歴や実務経験がなくても就労ビザを取得することが可能です。 また、在留資格「技術・人文・国際業務」を取得し日本で働く場合は、受け入れ先で従事する予定の業務と大学での専攻科目、実務経験の内容に関連性がある必要があります。
■在留可能期間
在留資格「技術・人文・国際業務」の在留可能期間は3カ月/1年/3年/5年のいずれかではありますが、在留資格の更新回数に制限は設けられていないため、受け入れ先の企業がある限り在留資格を更新し続けることが可能となります。
■受入れ可能な職種
では、「技術・人文・国際業務」の技術、人文知識、国際業務それぞれに該当する職種についての説明です。先ず大前提として、外国人技能実習制度と同様に単純作業の業務に従事することは出来ないというように定められています。
・「技術」に該当する職種
技術分野は主に、自然科学、理学、工学という理系の科目に関わりのある職種が対象です。建設業界では一番受入れの可能性が高く、具体的な職種としては、プログラマー・建築設計・システムエンジニア等
・「人文知識」に該当する職種
人文知識分野は主に、法律額、経済学、社会学、その他の人文科学の科目に関わりのある職種が対象となります。具体的な職種を例として挙げると、経理・人事・法務等の事務系職種、経営コンサルタント、貿易コンサルタント等
・「国際業務」に該当する職種
国際業務分野は主に、外国の文化に関する感受性や思考を必要とする職種が対象となります。具体的な職種としては、通訳、翻訳、語学教室の講師等の言語能力を活かしたものや服飾、グラフィクデザイナー等
技能実習生と技術・人文知識・国際業務それぞれのメリット・デメリット
在留期間の違い
技能実習生の在留期間が最長5年であるのに対し、技人国は更新さえすれば日本で労働し続けることが可能となりますので、転職されない限り受け入れ企業にとっては自社で育成した人材にいつまでも在籍してもらえるというメリットがありますが、逆に言うと転職されるというデメリットが裏返しになります。
つまり結局のところ魅力的な業界、企業でなければならないということです。日本人が集まらないから外国人に頼ると言うことは根本的に間違っているということになりますので、認識に対するご留意が必要です。
給与の違い
技能実習生はあくまでも労働者ではないため、最低賃金でも受入れが可能であるのに対し、在留資格「技術・人文知識・国際業務」は専門的な知識や技能、日本語能力を有する外国人を雇用することになるため、必然的に給与も技能実習生より高くなります。
上述の在留期間の違いにも記載しましたが、安く使うという認識を改めなければ外国人にも選ばれない業界・企業となりますので、認識を改めなければなりません。実際問題、人手不足問題に悩んでいるのは日本だけはありませんので、中長期的に考えたときに日本の新卒を育てるつもりで外国人労働者に接するのが正しいのではないでしょうか。
まとめ
技能実習生と通称エンジニアビザと呼ばれる在留資格「技術・人文知識・国際業務」では受入れ可能な職種が異なりますので、自社で外国人労働者の受入れを希望される場合は、受入れ予定の職種に合った在留資格を有する外国人を受け入れましょう。
気をつけたいのはエンジニアビザでは現場仕事は不可ということ。一部の悪徳ブローカーが違法な取引と知っていながら建設会社にあっせんしていることが見受けられますが、これは入管難民法違反(不法就労あっせん)という立派な犯罪ですので、気をつけて下さい。
技能実習生受入れの流れ
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・ベトナム人の在留資格偽り申請、単純労働の現場に派遣…ブローカーの男3人逮捕
~読売新聞オンライン~
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211013-OYT1T50114/