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【岡山の建設会社に喝っ!】ベトナム人技能実習生の暴行問題~今後の建設業界について考える~

岡山市の建設会社、株式会社シックスクリエイトに喝っ!!

株式会社Joh Abroadの福澤譲です。
大変痛ましい事件が発生しました。岡山市にある建設会社、株式会社シックスクリエイトの従業員がベトナム人技能実習生に対して2019年より度重なる暴行や暴言があり、2022年1月14日の報道により問題が発覚しました。

私は技能実習生の監理団体であるC・THE・S協同組合の代表理事でもありますので、これは建設業界は元より外国人技能実習生制度を揺るがす大変痛ましい問題です。今回は自分の主観も含めて、岡山市の建設会社のケースを事例に外国人技能実習制度の問題点を本記事にて述べていきたいと思います。

 

ベトナム人実習生やベトナム送り出し機関から見た日本の建設業界

結論。全く人気がありません。

言い方は悪いですが、ベトナム人実習生で最初から日本の建設業界で働きたいと希望している人材は皆無だと思って頂いても良いくらいです。簡潔に述べれば日本で全く人気のない業界・職業はベトナムにおいても同様だということです。

人気職種は圧倒的に工場勤務、送り出し機関で技能実習候補生の成績優秀者は日系大手の工場に実習先を選びます。なぜか?それは日系大手工場勤務の場合、1度に多くの同胞が雇用されるため異国である日本に行っても安心感がある。そして、夜勤があればより多く稼げる、福利厚生がしっかりしているなどなど。数えだしたらキリがありません。

対して建設業界はというと、まさしく3K職場の代表格とも言える建設業界。地方の小規模建設会社の現場作業と日系大手工場での勤務を比べたら、日本人でもどちらかを選べと言われたら99%の人は日系大手工場を選ぶと思います。

日本の建設業界の問題点として先ず上げられるのが人材不足。もっと掘り下げると若手人材不足であり、55歳以上の割合が一番多く、29歳以下が一番少ない業界となります。2007年~2020年の全業界の平均有効求人倍率は1.0倍~1.5倍で推移しているのに対して、2021年3月の建設業界の有効求人倍率は5.57倍です。

同じく人材不足で有名な介護業で3.17倍ですから、いかに建設業界が人手不足なのかがわかると思います。
※詳細は下記の記事を参照下さい。

 

【2022年最新版】建設業はやばい?人手不足問題は当たり前で自業自得?今後の動向と見通し

 

私の友人でもあり、ある送り出し機関のベトナム人関係者からは、送り出し機関の事業計画を作成するときに日本の建設業界への技能実習生の送り出しが全体の10%以上にならないように気をつけているという衝撃発言まで教えて頂きました。

え?なぜかって??答えは簡単です。今回の岡山市建設会社の様な事件が日本全国で大なり小なり発生しているから日本の建設業界には、なるべく送り出したくないとベトナム側から思われているのです。

岡山市建設会社のベトナム人実習生に対する暴行事件のあらまし

2022年1月14日の報道で岡山市建設会社の従業員がベトナム人技能実習生に対して2019年より度重なる暴行や暴言があったと報道があり、これを受けて出入国在留管理庁と厚生労働省は、調査の結果、建設会社の従業員が暴行を加えていた事実が確認されたとして会社の技能実習計画を取り消し、今後5年間、実習生の受け入れを停止する処分を行いました。

その後、岡山市の建設会社は解体工事や足場をメイン事業に手掛ける株式会社シックスクリエイトだと報道され、2022年2月24日の報道によると元従業員含む4名に外国人技能実習機構(OTIT)から岡山県警に告発状が提出されたとの事です。

 

■参照元
~NHK~
・技能実習生に暴行 岡山の建設会社に5年間受け入れ停止処分
2022年2月18日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220218/k10013490671000.html

 

~ロイター~
・従業員ら4人の告発状提出
2022年2月24日
https://jp.reuters.com/article/idJP2022022401001298

 

>技能実習計画を取り消し、今後5年間、実習生の受け入れを停止

上記の記事を見て、先ず思ったのがこの処分では軽すぎるので国民感情が許さないと言うこと。事実、今回の報道を受けて技能実習制度をよく理解していないであろう一般の方々も加害者個人を特定しようとする動きまでWEB界隈は大騒ぎになっています。

被害に遭われたベトナム人実習生の会見の記事を見ると、作業中に安全靴で左胸あたりを蹴られ肋骨3本を骨折した時は「自転車で転んだことにしろ」、大きな部品を投げ渡されて歯を折り、左唇をケガをして4針縫ったりした時は「階段で落ちたことにしろ」と上長に言われ、言う事を聞かないと病院に連れて行かないとまで言われたそうです。

当然ながらシックスクリエイト社は労災申請をしていませんでした。これは日本の恥ですし、建設業界の恥です。ごく一部の心無い人達のせいで、本当に困っている日本の建設会社にベトナム人技能実習生は更に来なくなるでしょう。

そもそもの話ですが、刑事罰レベルの事例だと思うので対応が遅いようにも感じられます。

ベトナム人技能実習生は、なぜ2年間も暴力に耐えたのか?

被害者であるベトナム人実習生はなぜすぐに訴えなかったのか?そのような疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。これこそ技能実習制度の根深い悪い習慣が根底に見え隠れするのです。

>「怖く、パニックになり、どうすればいいかわからなかった。相談したら、会社で働けなくなって、ベトナムに帰らなければいけなくなるのではと怖かった」

上記は被害に遭われたベトナム人実習生の会見での言葉です。私はこの会見の記事を見て、むむぅ!?となり、瞬時に怪しいと思って詳細を調べてみると、やはり被害者のベトナム人実習生はベトナム送り出し機関に約100万円の借金をしていました。

 

 

上記の図は失踪したベトナム人実習生が事情聴取時に話した内容になります。実習先企業が支払っていた月収も酷いのですが、送り出し機関に支払った金額をみて下さい。

通常送り出し機関に入校するのに金額は上限3600ドルと決められているので、例え食事代などを考慮したとしても、この金額は完全に違法です。相場で言えば60万前後が適切かと思います。

ベトナムはタクシーの初乗りが50円ほど、未だに地方に行けば住宅が300万円で建築でき、大学新卒の初任給で27,000円ほどの国です。100万円がどんなに大金かがわかると思います。

感覚地で最低でも5倍以上、100万円は500万円~700万円の価値があるのではないでしょうか。多くの技能実習生は親戚などに借金をしたり、金融機関からの借受で送り出し機関に入る資金を捻出して、半年の訓練を受けてから来日してます。

 

>会社で働けなくなって、ベトナムに帰らなければいけなくなるのではと怖かった

実習生にとって一番のリスクは実習途中で借金を残したままベトナムに帰国することなのです。これで、会見時のベトナム人実習生の被害者の方が言っている本来の意味が理解できたのではないでしょうか?

 

暗躍する悪徳ブローカー

では、なぜ今回の被害者のベトナム人実習生は100万円を支払うことになったのかです。ここからは憶測にはなりますので、話半分に聞いて頂ければと思いますが、簡潔に言うとブローカーがバックマージンをもらっている可能性が非常に高いです。

借金をしてまで送り出し機関に入校しても絶対に日本で働けるわけではありません。なぜならば、日本企業からの面接にて合格しなければ日本には行けないからです。送り出し機関の技能実習候補生でも成績上位者は日本企業からも人気なのは当然です。

では、選ばれない場合はどうするのか?それは日本からベトナムに訪れる受け入れ先企業に対しての接待交際費、つまりは旅費、食事代、観光費用、女性が接待を伴うカラオケ店などの費用を日本行きがなかなか決まらない実習候補生が支払うことで、優先的に採用面接場に融通を効かせてもらうのです。

加えて監理団体の中には送り出し機関に対して紹介フィーとしてバックマージンを要求する人間もいます。(もちろん違法行為)これらの費用も全て技能実習候補生が支払うことになります。本来、60万円前後の費用が倍額になるのはこの為です。

これは完全に憶測の話になりますが、おそらくシックスクリエイトの関係者もベトナムではさぞかし豪華な接待を受けていたのだろうと安易に想像が出来ます。

米、日本の技能実習を問題視 国務省が人身売買報告書

【ワシントン共同】米国務省は1日、世界各国の人身売買に関する2021年版の報告書を発表した。日本については国内外の業者が外国人技能実習制度を「外国人労働者搾取のために悪用し続けている」として問題視。政府の取り組みは「最低基準を満たしていない」として4段階評価で上から2番目のランクに据え置いた。

 

~ワシントン共同~
・日本の技能実習を問題視 国務省が人身売買報告書
2021年7月2日
https://news.yahoo.co.jp/articles/9890937f0673f003c5d532a6b500b21da0ad9aa5

 

現状、アメリカからも日本の技能実習制度は批判を受けている状況であり、日本国内においても現代の奴隷制度だと問題視している声が数多くあり、技能実習制度は廃止するべきだという声まであるのも事実です。

制度改革は必要だとは思いますが、外国人技能実習生がいなくては成り立たないのが日本の多くの産業、業界の現状ではないでしょうか。

本来、人気の業界・人気の職種の魅力ある仕事であれば人材不足に悩むことはないはずですが、小学生のなりたい職業の1位がユーチューバーの時代です。現実的には、建設業界の人気が急上昇するとも考えにくいですので、ベトナム人含めて海外の方々に日本の建設業界を手伝ってもらわねばならない状況にあります。

だからこそ、今回のベトナム人技能実習生に対しての事件を起こした岡山市の建設会社シックスクリエイトには喝っ!!なのです。

 

ベトナムの建設業法人を設立

ベトナム人実習生にとっても建設業が魅力的ではないということは述べてきましたが、そもそもベトナムに戻っても日本で学んだ技術を活かす場所がないのだと気づきました。今回の記事では詳細までは記述しませんが、日本のスーパーゼネコンですらベトナム国内では苦戦している状況です。

話は少し飛びますが、私は建設業界のコンサルタントとして約10年活動してきた中で、年間100名以上の経営者・経営幹部にお会いしてきたと思います。その中で感じてきたことは日本の市場に明るい未来を見てないが、チャレンジ精神はある。上手く表現はできませんが、私がお付き合いしてきた建設業界の経営者様達はみな同様な方が多いように思えます。

結論、何が言いたいのかと言いますと現在、ベトナム法人を建設業で起ち上げ中でしてベトナムに申請中です。ベトナム人技能実習生が日本で技能を身に着け、母国で母国の為に出来る建設の仕事を作りたいと思います。また、日本の建設業からは海外進出を目論んで頂こうかと思案・模索中です。

当然、日本とベトナムでは文化も気候も法律も違いますので、日本の技術がそのまま使用できるわけではありませんが、「ベトナムと日本」双方の建設業界がより良くなるために推進していきたいと思います。

その第一弾として先ずはベトナムの首都ハノイにCADセンターを先駆けて起ち上げましたので、詳細は下記からご確認下さい。

 

【ベトナムへ外注】建築CAD図面作成代行や電気・給排水・機械設備図面を低価格で海外委託

 

~最後に~
長文乱文失礼しました。
今回の岡山の建設会社のケースは氷山の一角かと思います。
人材難は日本だけの問題ではなく、韓国やドイツなども高齢化社会とあって人材難に悩まされてますが、技能実習生に似た制度は韓国やドイツにもあり、日本よりも法整備が進んでいるので、このままではベトナムから本当に日本の建設業界は選ばれなくなります。
当社としては日本の建設業界がより良くなる為にベトナム人実習生に対する正しい認識を広めていく所存です。
(株)Joh Abroadでは、建設・住宅業界に対してYouTube・InstagramなどよるWEB集客マーケティング支援やベトナム人の直接雇用支援(外国人技能実習生、特定技能、エンジニア)の紹介、ベトナム人の免許取得支援、ベトナムCADセンターでの建築CAD図面作成代行サービスを行っております。

 

 

~関連ブログ~
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